研究内容

研究テーマ

Image description地球再突入・惑星突入飛行に関する研究

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Reenty/Entry Flight Mechanics

「はやぶさ」カプセルの飛行など,超高速で再突入・突入する宇宙飛翔体の飛行(弾道/揚力飛行)・運動の研究を主に解析的手法によって行っています.はやぶさカプセル,DASHカプセルは,空力安定により受動的に姿勢を保った状態で再突入飛行する弾道飛行型カプセルです.より遠方の小惑星サンプルの回収をめざした「はやぶさMk-II(マークツー)」では,14km/sにも及び,前人未到の超高速エントリが計画されており,空力加熱の緩和や,着地点分散を考慮した飛行が求められます.
 軌道速度が大きい場合の飛行環境の緩和には揚力飛行は重要です.特に月からの有人帰還では飛行環境(減速率など)の緩和に加え,冗長手段の確保された安全な飛行は最重要課題で,どこからバンク制御を,どの程度かけると制御系の故障の際にも安全なのか.ピンポイントで着地させるにはどうしたらよいのか.アポロ以上の安全な飛行のための課題はたくさんあります.

Image description耐熱材料の研究開発

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Research and Development of Thermal Protection Material and System

 再突入・突入する飛翔体は,過酷な空力加熱に曝されます.スペースシャトルのノーズでは,最大空力加熱率:500kW/m2程度であるの対し,「はやぶさ」では,15 MW/m2(畳半畳に,電気ストーブ約1万5千台分の熱!)にも及びます.材料の専門の先生や,熱化学反応解析の専門の先生とチームを組み,国内最大のアーク加熱型風洞を用いて再突入飛翔体,惑星探査プローブの耐熱材料(アブレータ)の研究開発を行っています.実用に供す本物の材料の研究ができる唯一の環境かもしれません.
 昨今では,これまでのアブレータの1/5程度の超軽量アブレータの研究を進めております.飛翔体の熱防御材の重量減は,ペイロードの重量増,もしくは,低弾道係数化に伴う空力加熱緩和にもつながります.材料の試作,加熱試験の繰り返しに加え,X線CTスキャン技術も応用し,多孔質アブレータの内部熱分解反応のメカニズム解明に迫ろうとしています.

Image description惑星大気圏突入飛行環境の研究

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Flight Environment of Planetary Entry

 金星の低高度(気温180度)に水蒸気気球を浮かべ,金星大気観測を行なうミッションがワーキンググループで検討されています.気球を所定の高度まで運ぶのが,金星突入カプセルの役目です.金星や火星などの大気主成分は二酸化炭素で,窒素,酸素からなる地球大気と耐熱材料の場合とはだいぶ異なる熱化学反応が起こるはずです.
 惑星大気突入を模擬した(特に金星・火星大気の主成分であるCO2等の)高エンタルピ気流を発生する誘導加熱型プラズマ発生装置を独自開発しました.この装置は,非常に小規模な装置ですが,惑星突入を最初から意識して設計されたため,他に比して,高圧作動が可能なユニークな装置です.その反面,高出力での作動が不安定で,安定化作動が課題となっています.さらなる安定かつ高出力作動をおこなうための,装置自体の改良に加え,惑星突入プローブのための耐熱材との熱化学反応の解明などの実験的研究を行っています.

Image description高温気流のレーザ分光

Laser Diagnostics of the High Enthalpy Flow

 高エンタルピー気流の分光・レーザ分光による非接触な方法での気流診断など熱気体力学の基礎研究も行っています.高エンタルピ気流の特性を把握するため,接触探診断法では気流中に熱電対やプローブなどを挿入しますが,空力加熱でセンサが溶けてしまい計測できません.そこで,分光やレーザ分光などの非接触探診法が用いられます.アーク加熱気流中に溶け込む,装置のからのコンタミ成分である銅原子を利用した速度場計測や,NO分子を利用した,非平衡温度計測を行なってきました.


主に利用する研究設備・装置

Image descriptionアーク加熱風洞

Arc Wind Tunnel

 アーク加熱風洞は,アーク放電によって作動気体を高エンタルピー化するアークヒータを中心に,電力供給系,排気系,冷却系等からなる設備です.最高出力1MWのセグメント型アークヒータが装備され,これまで種々の再突入ミッションにおける耐熱材料開発を始めとし,ロケットノズル内の耐熱材の反応,流星の溶融メカニズム等の研究にも利用されています.気流や供試体サイズの調整により最大15MW/m2程度の加熱を与えることが可能です.また,YAGレーザを装備により5MW/m2までの輻射加熱が可能で,気体の電離に伴う輻射加熱が無視できない秒速10km以上の飛行環境領域も模擬します.

Image description誘導加熱プラズマ発生装置

Inductively Coupled Plasma Generater

 惑星大気突入を模擬した(特に金星・火星大気の主成分であるCO2等の)高エンタルピ気流を発生する誘導加熱型プラズマ発生装置を独自開発しました.この装置は,最大出力10kWと小規模なプラズマ発生装置ですが,惑星突入を最初から意識して設計されたため,他に比して,高圧作動が可能なユニークな装置です.その反面,高出力での作動が不安定で,安定化作動が課題となっています.さらなる安定かつ高出力作動をおこなうための,装置自体の改良に加え,惑星突入プローブのための耐熱材との熱化学反応の解明などの実験的研究を行っています.